能動的な世界の建設

ニール・ドナルド・ウォルシュ著 「神との対話」から一部引用

「神との対話2 18章から一部抜粋」

読者のために、念を押すと──世界政府ができると、どうなりますか?

①国家間の戦争も、紛争を殺人によって解決することもなくなる。
②絶望的な貧困、餓死、権力者による人間と資源の搾取もなくなる。
③それに、制度的な地球環境の破壊もなくなる。
④もっと大きく、もっと良く、もっとたくさんという、果てしないあがきからも解放される。
⑤すべてのひとに、自己の最高の表現を達成する──真に平等な──機会がひらかれる。
⑥人びとの──家庭で、職場で、政治的システムで、個人的な男女関係において──前進をはばんでいるすべての制限や差別がなくなる。

新しい世界秩序には、富の再分配が必要ですか?

何も必要ではない。自然に、自発的に、きわめて自動的に、資源の再配分が実現する。たとえば、すべてのひとが適切な教育を受けられる。すべてのひとに、受けた教育を職場で生かす機会がひらかれる。喜びをもたらすキャリアを実現することができる。
すべてのひとに、必要なとき必要な方法で、健康を守る手だてを講じることが保障される。
すべてのひとが餓死せず、また充分な衣服や適切な住まいもなしに暮らさずにすむと保障される。
すべてのひとに人間としての基本的な尊厳が保障されるから、誰も生きるための苦労をせずにすむし、誰でも単純な慰めを得られ、人間らしい暮らしができるようになる。

そのために努力をしないひとでも、ですか?

こうしたことのために努力する必要があると考えるから、天国に行くには努力しなければならないと思う。だが、努力したって神の恵みは得られないし、また、努力する必要もない。
なぜなら、あなたがたはすでに神の恵みのなかにある。それが、あなたがたにはどうしてもわからない。それは、あなたがた自身が与えられないからだ。無条件に与えること(無条件に愛すること)を学んだとき、無条件に受けとることもできるだろう。人生は、それを経験するために創られた乗り物なのだよ。
この考えで自分を包んでごらん。ひとには生きていく基本的な権利がある。たとえ、何もしなくても、生きる権利がある。何も貢献しなくても、生きる権利がある。尊厳をもって生きることは、ひとの基本的な権利である。わたしはあなたがたに、万人が人間らしく生きるのに充分な資源を与えている。あなたがたは分けあいさえすればいい。

でも、それじゃ、ひとはぶらぶらして、「福祉」にすがって、人生を浪費しませんか?それは、どうやって防ぐのですか?

第一に、何が人生の浪費かを判断するのは、あなたがたではない。七〇年間、何もせずに詩を考えていたあげく、何千人もの人びとの理解と洞察の扉を開くようなソネットを、たったひとつだけ生み出したとしたら、その人生は浪費だろうか?噓をつき、だまし、何かをもくろみ、被害を与え、あやつり、他人を傷つけて人生を過ごした男が、その結果、ほんとうの自分を──たぶん、生涯をかけて思い出そうとしていた何かを──思い出して、ついに新しいレベルに成長したとしたらどうか?この人生は「浪費」だろうか?他人の魂の旅を判定するのは、あなたの役割ではない。あなたは、自分が何者であるかを決めるべきであって、ほかの誰かが何者であるか、あるいは何者でないかを判定する必要はない。
あなたは、ひとがぶらぶらして、「福祉」にすがって、人生を浪費するのはどうやって防ぐのか、とたずねた。防ぐ方法は何もない、というのが答えだよ。

だが、ほんとうにそれでうまくいくとお思いですか?貢献をするひとたちが、しないひとたちを恨むようなことはありませんか?

そう、恨むだろうね。そのひとたちが悟りを開いていなければ。しかし、悟りに達したひとたちは、貢献をしないひとたちに大きな憐れみを感じるだろうが、恨みはしない。

憐れみ?

そう。なぜなら、貢献をするひとたちは、しないひとたちが大きなチャンスと最高の栄光を失っていることを知っているから。ほんとうの自分についての最高の考えを創造し、経験するという栄光だよ。それだけでも、何もせず、怠けることに対する罰としては──もし、罰が必要ならの話だが──充分だとわかっているから。ただし、罰は必要ない。

それにしても、貢献するひとたちは、自分たちの労働の果実が奪われて、怠け者に与えられることに対して、ほんとうに怒りを感じないでしょうか?

どうも、話を聞いていなかったようだな。誰でも最低限、生きていくのに必要なものを与えられる。そのために、豊かな者は、自分が得たものの一○パーセントを貢献として差し出す。所得については、開かれた市場が個々の貢献の価値を決めるだろう。いまのあなたがたの国と同じだよ。

それでは、やっぱり「豊かな者」と「貧しい者」がいるんですね、いまと同じに!それじゃ、平等じゃないですよ。

しかし、機会は平等だよ。誰でも、最低限、憂いなく生きられる機会を与えられる。そして、誰でも、知識や技術を習得し、天性の才能を喜びの場で活用する機会を平等に与えられる。

喜びの場?

いまは「職場」と言われているね。

それでも、やっぱり「羨望」はあるんじゃないですか?

羨望はあるだろう。だが、嫉妬はない。羨望は自然な感情で、もっと多くを望む気持ちを起こさせる。二歳の幼女が、お兄ちゃんのようにドアのノブに手が届くといいな、とうらやましがる気持ちだ。べつに悪いことではない。羨望は動機づけとしてはたらく。純粋な欲望だ。偉大さの母だ。
ただし、嫉妬を駆りたてるのは「不安」で、他人がもっと貧しければいいと思わせる。基本にあるのは、たいてい、にがにがしさだ。怒りから生まれ、怒りへとつながる。ひとを殺す。嫉妬はひとを殺害する。三角関係の嫉妬に苦しんだ者は、誰でもそれを知っている。嫉妬はひとを殺すが、羨望は誕生の契機となる。
うらやましいという心をもった者には、自分なりの方法で成功する機会がひらかれる。経済的、政治的、社会的に立ちふさがる者は誰もいない。人種や性、性的嗜好に阻まれることもない。生まれや階級や年齢に阻まれることもない。どんな理由であれ、阻まれることはない。どんな理由の差別も、もう許されなくなる。それでも「豊かな者」と「貧しい者」はいるだろうが、「飢える者」や「極貧の者」はいないだろう。いいかね、人生からインセンティヴが失われるわけではない……ただ、絶望が消えるだけだ。

しかし、貢献しない者を支えるのに充分な貢献があることを、どうやって保障するんですか?

保障は人間性だ。

人間性?

どうも誤解しているようだが、平均的な人間は、ただ生きているだけでは満足しない。第二のパラダイムの変化──霊的な変化──が起これば、偉大さを求めるインセンティヴ全体が変化する。

どうすれば、そんな変化が起こるのですか?二〇〇〇年の歴史でも、起こっていないのに──。

いや、二〇億年かもしれない──。

地球の歴史上、起こったことがないのに、どうして、いま起こると言えるんでしょう?

なぜなら、物質的に生存する苦労がなくなれば──わずかばかりの安定を獲得するために、力で成功する必要がなくなれば──すぐれた経験をすることそのもの以外に、すぐれたことがらを達成し、傑出し、すぐれた者になる理由がなくなるからだ。

それだけで、充分な動機になるんですか?

人間の精神が昂揚する。真の機会を前にすれば、精神が下落することは決してない。魂はもっと高い経験を求めている。一瞬でもほんとうのすばらしさを経験した者は、誰でもそのことを知っている。

それじゃ、力はどうですか?そういう特別な新しい秩序においても、とんでもない富と力をもった者がいるんじゃないですか。

金銭的な収入には制限がある。

そうか──やっぱりそうなんだ。わたしが、そのシステムがうまくいかない理由をあげる前に、どうしてうまくいくのかを説明してくださいますか?

いいよ。所得に下限があるように、上限も設けられるだろうね。第一に、ほとんどすべてのひとは所得の一〇パーセントを世界政府に差し出す。さっき話した自発的な一〇パーセントの貢献だ。

ええ……昔ながらの「平等税」ですね。

いまの時代、いまの社会では、あなたがたはまだ悟っていないから、みんなのための自発的な貢献が全員の利益になることが理解できない。そのため、税金のかたちをとる必要があるだろう。だが、さっき言ったような意識の変化が起これば、自分の所得の一部を自分から差し引いて、心をこめて差し出すのが当然だと思うようになるだろう。

ひとつ、言いたいことがあるんですが、ここで口をはさんでもいいですか?

いいとも。何でも言ってごらん。

この対話はとても奇妙な感じです。まさか、神さまとの対話のなかで、政治活動についての勧告をされるとは思ってもいませんでしたよ。つまり、神が単一税率制度に賛成だなんて、ひとにどう説明したらいいんでしょう?

あなたにはどうしても「税」としか考えられないらしい。
豊かさの一〇パーセントを差し出して分けあうということが、奇異に感じられるのだろうから、無理もないが。それにしても、わたしがそうした考え方をすることが、どうしてそんなに信じられないのかね?

神さまというのは、そういうことを判断したり、意見を言ったりしないんだと思っていました。

ちょっと待ちなさい。誤解を正しておこう。この前の対話──一冊めの対話だね──で、わたしはいろいろな質問に答えた。どうすれば人間関係がうまくいくか、正しい生き方とは何か、正しい食事についても答えたじゃないか。それとこれと、どうちがうのだろうね?

さあ、わかりません。ただ、ちがう気がするんです。つまり、ほんとうに政治的意見をおもちなんですか?もしかしたら、共和党の党員証を持ってたりして?驚いちゃいますよ!神さまが共和党員だなんて。

民主党員のほうがいいと思うかい?おやおや(GoodGod)!

うまい!いえ、そうじゃなくて、ノンポリのほうがぴったりくるんですよ。

わたしはノンポリだよ。政治的意見など、もってはいない。

まるで、ビル・クリントンみたいだ。

そう、そうだよ!うまいことを言うじゃないか!ユーモアは大好きだ。あなたは?

神さまがユーモラスだったり、政治的だったりするとは思ってませんでしたね。

それでは人間的すぎると?よろしい。もういちど、この本と一冊めの対話について、きちんと説明しておこう。
あなたがたにこういう人生がいいだの、ああいう人生がいいだのとは、わたしは言わない。わたしの唯一の欲求は、あなたがたが充分に創造的な存在としての経験をすること、それによってほんとうの自分を知ることだ。

ええ、わかります。そこまでは、わかっています。

わたしがここで答えている質問も、一冊めの対話で話したことも、創造的な存在としてのあなたがたがどんなふうになりたい、何をしたいと考えているかということをふまえて、聞いたり、答えたりしている。たとえば、一冊めの対話で、あなたは人間関係に成功するにはどうすればいいか、いろいろと聞いたね。覚えているかな?

もちろん、覚えています。

わたしの答えに問題があると思ったか?そうしたことについて、わたしが意見を言うのは変だと思ったかい?

いいえ、ぜんぜん。わたしはただ答えを読んでいただけです。

そら、わたしはあなたの質問をふまえて答えていただけだ。つまり、あなたがこれこれを望む、それを実現するにはどんな方法があるだろうと、たずねた。わたしは、それについて答えた。

はい、そうでしたね。

ここでも、同じことをしているだけだ。

そうですが……そうなんですが……あれとこれとは、どうもちがう感じがしてならないんです。

ここで話していることには、賛成しにくいと思うのかな?

そうですねえ……。

それならそれで、いいんだよ。

えっ、いいんですか?神さまに反対しても、いいんですか?

あたりまえだ。わたしが何をすると思ったのかね?ハエみたいに叩きつぶすとでも?

まさか、そこまでは考えていませんでしたが。

いいかな。すべてが始まったときから、世界はずっとわたしに反対してきた。世界の誕生以来、わたしの言うとおりに従った者はほとんどいないよ。

そう、そうなんでしょうね、きっと。

そうだとも。ひとがわたしの指示に従っていたら──何千年にもわたって、たくさんの師を送ってきたのだから──いまとはべつの世界になっていただろうね。だから、いま、わたしに反対したいのなら、かまわないから反対しなさい。それに、わたしが間違っているかもしれないのだし。

なんですって?

それに、わたしが間違っているかもしれないのだし、と言ったのだよ。やれやれ……あなたはまさか、これを福音だと思ってるのじゃないだろうね?

それじゃ、この対話を信用するなとおっしゃるんですか?

おいおい、ちょっと待ちなさい。どうも、肝心なことがわかっていないようだ。一から出なおそうか。この本は、あなた自身がつくりあげているんだよ。

それで、ほっとしましたよ。具体的な指針が与えられていると、思いこむところだったな。

指針とは、あなたの心に従いなさいということだ。自分自身の魂に耳を傾けなさい。自分自身の声を聞きなさい。わたしが選択肢を、考え方を、意見を示したとしても、あなたがそれをとり入れる義務はない。反対だったら、反対すればいい。大切なことだよ。何か、あるいは誰かに対する依存を、この本への依存にすりかえるのが目的ではないのだからね。自分で考えさせたいのだ。自分自身で考えること。それがいまのわたしだ。わたしは考えているあなた、考えを声に出している、あなただ。

それじゃ、この対話は至高の源から発しているのではないとおっしゃるんですか?

いやいや、もちろんそうだよ!しかし、あなたがまだ信じられないでいることがひとつある。あなたが至高の源だということだ。どうも、それがわかっていないらしい。あなたがすべてを──人生のすべてを──ここで、いま創り出しているのだ。あなたが……あなた自身が……創り出している。わたしではない。あなただ。
そこで……この純粋に政治的な問題に対する答えのなかに、気に入らないことがあるのかな?それなら変えればいい。いま、ここで変えなさい。これを福音として聞きはじめる前に。これを事実と思いこむ前に。何かについてのあなたの前の考えを、つぎの考えよりも重要で、妥当で、真実だと言い出す前に。覚えておきなさい。あなたの現実を創り出すのは、つねにあなたの新しい考えだということを。つねに、新しい考えだ。さて、この政治的議論のなかで、変えたいと思うことがあるかな?

じつは、とくにありません。どっちかというと賛成です。ただ、どうすればいいかわからないんです。

好きなようにしなさい?わからないのかな?あなたはずっとそうしてきたんだよ!

オーケー、いいです……わかったと思います。とりあえず、この先の対話を続けたいですね。

よろしい。では、そうしよう。

さっき、おっしゃりかけたのは……



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